《吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」》《抒情的「祭」》など、日本の吹奏楽を語るうえで欠かせない作品を生み出してきた作曲家、伊藤康英。
日本各地の民謡を取り入れた作品から、壮大な交響曲、さまざまな楽器のための協奏曲まで、その音楽は実に多彩。2026年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ《管楽器のためのフィナーレ》も手がけています。
この記事では、そんな伊藤康英の代表的な吹奏楽曲24作品を、成立背景や聴きどころ、演奏動画とともにご紹介します。コンクールや演奏会の選曲、新しいお気に入りの曲探しにぜひご覧ください♪
吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約20分
伊藤康英の代表作といえば、まず紹介したいのが《ぐるりよざ》。長崎に伝わるキリシタン文化と日本の民謡を題材にした、全3楽章の壮大な交響詩です。日本国内だけでなく、海外でも演奏されている吹奏楽の名曲として知られています。
第1楽章「祈り」、第2楽章「唄」、第3楽章「祭り」で構成。グレゴリオ聖歌と日本の伝統的な音楽が融合し、独特の世界を生み出します。第2楽章に登場する龍笛の音色や、第3楽章の躍動感あふれる音楽にも注目してみてください!
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吹奏楽のための抒情的「祭」
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約6分30秒
《ぐるりよざ》と並ぶ伊藤康英の代表作《抒情的「祭」》。1986年、海上自衛隊大湊音楽隊の委嘱により作曲された作品で、青森の民謡や祭りの音楽が取り入れられています。
津軽じょんから節、津軽あいや節、ホーハイ節、弘前ねぷた祭りなどが音楽の素材になっています。日本的な旋律を使いながらも、作品全体は緻密に構成されているところが魅力。華やかな打楽器と管楽器の響きから、祭りの熱気が伝わってきます!
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管楽器のためのフィナーレ
作曲:伊藤康英 / 2026年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ
2026年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳとして委嘱された《管楽器のためのフィナーレ》。伊藤康英の作曲技法を、比較的短い時間のなかで味わえる作品です。
古典的なソナタ形式をもとに、小さな音型を発展させながら音楽が展開していきます。華やかに聞こえる部分にも緻密な構成が隠されているので、主題がどのように形を変えて登場するかに注目すると、聴く楽しさも広がります。
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吹奏楽のための「北海変奏曲」
作曲:伊藤康英
《北海変奏曲》は、1991年に作曲された吹奏楽作品。ひとつの音楽的な素材が姿を変えていく、変奏曲ならではの面白さを楽しめます。
変奏曲では、もとになる主題がリズムや和声、音色を変えながら登場します。この作品でも、音楽が変化するたびにどのような表情が生まれるのかが聴きどころ。伊藤康英の構成力に触れられる作品です。
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吹奏楽のための「琉球幻想曲」
作曲:伊藤康英
沖縄民謡《安里屋ユンタ》を題材にした《琉球幻想曲》。親しみやすい民謡の旋律が、伊藤康英ならではの音楽へと生まれ変わった作品です。
もともとは1997年に2台のピアノを4人で演奏するために作曲され、その後、さまざまな編成の作品が生まれました。吹奏楽版にも複数の形があり、ピアノ独奏を伴う版と吹奏楽のみの版があります。同じ旋律から生まれた音楽の違いを聴き比べてみるのも面白そうです。
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ピース、ピースと鳥たちは歌う
作曲:伊藤康英
平和への祈りを音楽に込めた《ピース、ピースと鳥たちは歌う》。2018年、創価大学パイオニア吹奏楽団の委嘱により完成した作品です。
音楽の素材となっているのは、カタルーニャ民謡《鳥の歌》。チェロ奏者パブロ・カザルスが平和への思いを込めて演奏したことでも知られる旋律です。大きな音楽の流れのなかに、祈りや希望が込められた作品。静かなメロディーにも耳を傾けてみてください。
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ジュビリー・シンフォニー(祝祭交響曲)
作曲:伊藤康英
《ジュビリー・シンフォニー》は、1994年に作曲された祝祭的な吹奏楽作品。華やかな音楽と、静かに思いを巡らせる音楽をあわせ持っています。
第1部「ファンファーレ」と第2部「リメンブランス・フェアウェル」で構成され、祝典の明るさと、追憶や別れを思わせる響きが対照的です。単に華やかなだけではない、祝祭作品の奥行きを感じられます。掲載動画は第1部「ファンファーレ」です。
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交響三頌「ラ・ヴィータ」
作曲:伊藤康英
《交響三頌「ラ・ヴィータ」》は、1998年に作曲された全3楽章の大作。伊藤康英の交響的な音楽世界を、じっくり楽しみたい人に紹介したい作品です。
「ラ・シンフォニア」「ポエータ」「ラ・ヴィータ」の3楽章からなり、各楽章で異なる音楽の表情を描きます。楽章ごとに楽譜が出版されているため、一部の楽章から触れることもできますが、ぜひ全体を通して聴きたい作品です。
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未完のオペラへの間奏曲
作曲:伊藤康英
《未完のオペラへの間奏曲》は、1991年に作曲された吹奏楽作品。題名からもオペラの世界を連想させる、劇的な音楽が魅力です。
オペラの間奏曲という言葉には、舞台上の場面と場面をつなぐ音楽というイメージがあります。どんな人物や物語が隠れているのだろう、と想像しながら聴くのも面白いところ。吹奏楽の豊かな響きで楽しむ、舞台音楽のような作品です。
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吹奏楽のための舟歌
作曲:伊藤康英
1993年に作曲された《吹奏楽のための舟歌》。華やかな祝祭曲とはひと味違う、歌うような音楽に耳を傾けたい作品です。
「舟歌」は、船をこぎながら歌う歌に由来する音楽の名称。ゆったりとした流れや、揺れを感じさせるリズムが結びつくこともあります。題名から浮かぶ情景を思い描きながら、管楽器が生み出す旋律の魅力を楽しんでみてください。
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吹奏楽のための「台湾狂詩曲」
作曲:伊藤康英
台湾を題材にした吹奏楽作品《台湾狂詩曲》。1992年の作品で、伊藤康英が手がけた「台湾三部作」の第1曲にあたります。
狂詩曲(ラプソディ)は、自由な形式や変化に富んだ音楽に使われる名称。音楽がさまざまな表情を見せるところが魅力です。同じ台湾三部作には、後に作曲された別の作品もあり、地域や文化に目を向けた伊藤康英の創作を知るきっかけになります。
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吹奏楽のための交響詩「ゴー・フォー・ブローク」
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約6分30秒
第二次世界大戦で戦った日系アメリカ人兵士たちを題材にした《ゴー・フォー・ブローク》。歴史を背景に持つ、力強い吹奏楽作品です。
題名の「Go For Broke」は、日系アメリカ人部隊のモットーとして知られる言葉。自分たちのルーツと向き合いながら戦った人々の歴史に目を向けた作品です。約6分半という時間のなかに込められた、音楽の力強さに注目したい1曲です。
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管楽器のための古典組曲
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約9分
《管楽器のための古典組曲》は、古典的な舞曲を現代的な感覚で楽しめる作品。1996年に作曲された、全4楽章の組曲です。
「タンゴ風アルマンド」「シャコンヌ風サラバンド」「ハバネラ風ガヴォット」「サパテアード風ジーグ」という、ユニークな楽章名が並びます。ヨーロッパの古い舞曲と異なる時代のリズムが組み合わされ、タイトルを眺めるだけでも面白い1曲です!
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管楽器のための古典幻想曲
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約6分30秒
《古典幻想曲》は、1992年に作曲された管楽器のための作品。古典的な音楽の魅力と、幻想曲の自由な発想をあわせて楽しめます。
「古典」と「幻想曲」という二つの言葉が組み合わされた題名も特徴的。整った音楽の構成と、自由な表現の関係を考えながら聴いてみたい作品です。《古典組曲》と続けて聴くと、伊藤康英が古典的な音楽語法をどのように生かしているかも感じられそうです。
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吹奏楽のための祝祭曲「集え、祝え、歌え」
作曲:伊藤康英
《集え、祝え、歌え》は、1998年に作曲された祝祭的な吹奏楽曲。演奏会や記念行事など、華やかな舞台で取り上げたい作品です。
「集う」「祝う」「歌う」という言葉が並ぶ題名には、音楽を共に楽しむ喜びが感じられます。吹奏楽のさまざまな楽器がひとつの響きを生み出す魅力を、祝典的な音楽として楽しみたい1曲です。
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響 ~音楽ができる喜び~
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約6分
《響 ~音楽ができる喜び~》は、2008年に作曲された吹奏楽作品。タイトルからも伝わってくるように、音楽を共に演奏する楽しさを感じられる1曲です。
楽器によって異なる音色が重なり、ひとつの響きになるのは吹奏楽ならではの魅力。演奏会でお客様と音楽の楽しさを分かち合うようなプログラムにも、よく似合う作品です。
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シンガポール・シンフォニー
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約18分
《シンガポール・シンフォニー》は、2005年に作曲された全3楽章の吹奏楽交響曲。伊藤康英の海外とのつながりを感じられる作品のひとつです。
全体は約18分で、3つの楽章を通して大きな音楽の流れが生まれます。フルートやオーボエ、イングリッシュホルンなど、木管楽器にもさまざまなソロが用意されているのが特徴。大編成の吹奏楽ならではの豊かな響きを楽しめます。
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ユーフォニアムと吹奏楽のための幻想的変奏曲
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約8分30秒
ユーフォニアム独奏と吹奏楽のための《幻想的変奏曲》。1990年に作曲された作品で、ユーフォニアムの美しい音色と技巧を楽しめます。
ユーフォニアムは温かな音色で歌うことができる一方、速いパッセージも得意とする楽器。変奏曲という形式を通して、その両方の魅力が引き出されます。ユーフォニアム奏者をソリストに迎える演奏会にもおすすめの作品です。
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トランペット協奏曲
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約15分
トランペット独奏と吹奏楽のために書かれた《トランペット協奏曲》。2018年の作品で、華やかな音色を持つトランペットが主役になります。
トランペットは輝かしい高音だけでなく、柔らかく歌う表現も魅力の楽器。協奏曲では、その幅広い表情と吹奏楽の豊かな響きが組み合わされます。ソリストの演奏に注目しながら楽しみたい作品です。
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津軽三味線協奏曲
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約14分
ちょっと珍しい吹奏楽の協奏曲として紹介したい《津軽三味線協奏曲》。2013年に作曲された、津軽三味線と吹奏楽のための作品です。
津軽三味線は、力強い撥さばきと多彩な音色が魅力の日本の伝統楽器。西洋の管楽器を中心とした吹奏楽との組み合わせから、新しい響きが生まれます。日本の伝統音楽と吹奏楽の出会いを楽しめる作品です。
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煌夜 ~祭の幻想~
作曲:伊藤康英
《煌夜 ~祭の幻想~》は、2016年に作曲された吹奏楽作品。かつての代表作《抒情的「祭」》と深いつながりを持つ作品です。
《抒情的「祭」》の作曲から約30年を経て、青森の民謡や祭りという題材を新たな視点で取り上げました。同じ素材を使っても、時代や作曲家の発想によって音楽は変わります。2作品を聴き比べると、伊藤康英の創作の歩みも楽しめそうです。
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小さな森のラ・フォリア ~吹奏楽のための幻想曲~
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約6分20秒
小編成の吹奏楽で伊藤康英の音楽に挑戦したいなら《小さな森のラ・フォリア》もおすすめ。2013年、練馬区立開進第三中学校吹奏楽部のために書かれた作品です。
もとになったのは、東京佼成ウインドオーケストラのために作曲された《ラ・フォリア》。その音楽的な素材を生かしながら、小編成でも演奏できる新しい作品としてまとめられました。人数が少なくても、充実した音楽に取り組みたいバンドに紹介したい1曲です!
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マーチ「浜松」
作曲:伊藤康英 / 演奏時間:約6分
伊藤康英の出身地・静岡県浜松市に結びついた《マーチ「浜松」》。2007年に作曲された、演奏会にもぴったりのコンサート・マーチです。
マーチは、一定の歩調を感じさせるリズムが特徴の音楽。管楽器の華やかな響きと歯切れのよいリズムを楽しめます。壮大な交響詩とは違う、伊藤康英の親しみやすい作品に出会いたい人にもおすすめです。
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月夜の龍 ~香港からの手紙
作曲:伊藤康英
《月夜の龍 ~香港からの手紙》は、2012年に作曲された吹奏楽作品。香港という都市と、月夜の龍を思わせる幻想的な題名が印象に残ります。
伊藤康英の作品には、日本各地の文化を題材としたものだけでなく、海外の都市や文化に関わる作品も数多くあります。この曲もそうしたレパートリーのひとつ。題名から浮かぶ世界を想像しながら、音楽そのものの魅力を楽しみたい1曲です。
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作曲家について
伊藤康英(1960年生まれ)は、静岡県浜松市出身の作曲家。東京藝術大学作曲科と同大学院で学び、吹奏楽を中心に、協奏曲、オペラ、室内楽など幅広い作品を手がけています。《吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」》《抒情的「祭」》などで知られ、海外でも作品が演奏されています。日本の伝統音楽と西洋の作曲技法を組み合わせた作品から、親しみやすいマーチまで、多彩な音楽を生み出しています。