MENU

「移調楽器」って何?ややこしい「C管」「B♭管」問題について解説!

吹奏楽やオーケストラを始めると、
耳にすることがある「C管」「B♭管」という言葉。

「クラリネットはB♭管」
「アルトサックスはE♭管」
「フルートはC管」などと言われますが、
そもそも何が違うのでしょうか?

実は、管楽器の中には楽譜に書かれている音と、
実際に鳴っている音の高さが違う楽器があります。

これを「移調楽器」と呼びます。

この記事では、移調楽器の基本的な仕組みから、
C管・B♭管・E♭管などの違い、
なぜ移調楽器が存在するのかまで、
できるだけわかりやすく解説します。

最後には、主な管楽器を調性別にまとめた一覧表も掲載しています。

目次

そもそも「移調楽器」とは?

移調楽器とは、楽譜に書かれている音(記譜音)と、実際に鳴る音(実音)が異なる楽器のことです。

例えば、ピアノで「ド」を弾けば、当然ながら「ド」の音が鳴ります。

フルートやオーボエも同じです。楽譜に「ド」と書かれていれば、実際に鳴る音も「ド」になります。

ところが、B♭管のクラリネットでは事情が異なります。

クラリネットの楽譜に書かれた「ド」を演奏すると、実際にはピアノの「シ♭」にあたる音が鳴るのです。

つまり、同じ「ド」の楽譜を演奏しても、楽器によって実際に鳴る音が違うということ。

ちょっとややこしいですよね。(笑)

このように、記譜音と実音に一定の音程差がある楽器を「移調楽器」と呼びます。

「C管」「B♭管」「E♭管」ってどういう意味?

では、楽器の名前についている「C管」「B♭管」とは何を表しているのでしょうか?

基本的には、その楽器で楽譜上の「ド(C)」を演奏したとき、実際に何の音が鳴るかを表しています。

例えば、次のようになります。

  • C管:ドを吹くと、ド(C)が鳴る
  • B♭管:ドを吹くと、シ♭(B♭)が鳴る
  • E♭管:ドを吹くと、ミ♭(E♭)が鳴る
  • F管:ドを吹くと、ファ(F)が鳴る
  • A管:ドを吹くと、ラ(A)が鳴る

ただし、ここでは音の名前だけを示しています。実際には楽器によってオクターブも異なります。

例えば、同じB♭管でも、ソプラノサックスとテナーサックスでは鳴る音の高さが1オクターブ違います。

なぜ移調楽器が存在するの?

「だったら全部の楽器をC管にすればいいのでは?」

そう思う方もいるかもしれません。

実は、移調楽器にはきちんとした理由があります。

理由① 楽器を持ち替えても同じ指使いで演奏できる

代表的なのがサックスです。

サックスには、ソプラノ・アルト・テナー・バリトンなど、さまざまな種類があります。

それぞれ楽器の大きさも音域も異なりますが、基本的な指使いには共通性があります。

移調楽器として楽譜を書くことで、違う大きさのサックスに持ち替えても、同じ音符をほぼ同じ指使いで演奏できるのです。

例えば、アルトサックスもテナーサックスも、楽譜上の「ド」の指使いは基本的に同じ。

ただし、実際に鳴る音は異なります。

クラリネットのB♭管とA管の関係にも、同じような利点があります。

理由② 楽器の構造や歴史的な背景

管楽器は、管の長さによって基本となる音の高さが変わります。

一般に、管が長くなるほど低い音が出やすくなります。

また、昔の金管楽器には現在のようなバルブがなく、演奏する曲の調に合わせて長さの違う楽器や替え管を使用していた時代がありました。

こうした楽器の構造や歴史の中で、さまざまな調性の楽器と、その楽器に合わせた楽譜の書き方が発達してきました。

移調楽器は、単に音楽をややこしくするために存在しているわけではないのです。(笑)

実音と記譜音はどうやって読み替える?

ここで、吹奏楽でよく登場するB♭管を例に考えてみましょう。

B♭管のクラリネットは、楽譜に書かれた音よりも長2度低い音が鳴ります。

例えば、

  • 楽譜の「ド」→ 実際には「シ♭」
  • 楽譜の「レ」→ 実際には「ド」
  • 楽譜の「ミ」→ 実際には「レ」

という関係です。

つまり、ピアノとB♭クラリネットで同じ高さの「ド」を鳴らしたければ、クラリネットは楽譜上の「レ」を演奏する必要があります。

逆に言えば、B♭管の楽譜は、実際に鳴らしたい音より長2度高く書かれているということです。

同じように、E♭管のアルトサックスなら長6度高く、F管のホルンなら完全5度高く書くことで、ほかの楽器と同じ高さの音を鳴らせます。

この関係を理解しておくと、スコアを読んだり、異なる楽器のために楽譜を編曲したりするときにも役立ちます。

トロンボーンやユーフォニアムはB♭管なのに移調楽器じゃない?

移調楽器の話でもうひとつ、少しややこしい例があります。

それがトロンボーンやユーフォニアム、チューバなどの金管楽器です。

一般的なテナートロンボーンやユーフォニアムは、楽器の構造としてはB♭管に分類されます。

ところが、ヘ音記号で書かれた通常の楽譜では、記譜音と実音が同じになるように書かれています。

つまり、楽器自体はB♭管なのに、楽譜はC管と同じように読めるのです。

これは金管楽器の歴史や記譜法の違いによるものです。

ただし、英国式ブラスバンドなどでは、ユーフォニアムやトロンボーンがB♭管の移調譜で書かれることもあります。

そのため、「楽器そのものが何管なのか」と「楽譜が何調で書かれているか」は、必ずしも一致しないことを覚えておきましょう。

まとめ|移調楽器は仕組みがわかれば難しくない!

移調楽器とは、楽譜に書かれている音と、実際に鳴る音が異なる楽器のことです。

最初はややこしく感じますが、基本的には「楽譜上のドが何の音として鳴るのか」を考えると理解しやすくなります。

また、同じ調性の楽器でも、オクターブが違うことがあります。

さらに、トロンボーンやユーフォニアムのように、楽器の構造上の調性と楽譜の書き方が異なる例もあります。

すべての移調を一度に覚える必要はありません。

まずは自分の楽器が何管なのか、そして合奏しているほかの楽器が何管なのかを知るところから始めてみましょう。

【一覧表】C管・B♭管・E♭管・F管・A管などの主な管楽器

最後に、管楽器を調性別にまとめました。

吹奏楽やオーケストラでよく使われる楽器を中心に、少し珍しい楽器も紹介しています。

調性主な管楽器
C管フルート、ピッコロ、オーボエ、ファゴット(バスーン)、コントラファゴット、バスオーボエ、C管クラリネット、C管トランペット、C管チューバ、Cメロディサックス
B♭管B♭クラリネット、バスクラリネット、ソプラノサックス、テナーサックス、トランペット、コルネット、フリューゲルホルン、トロンボーン、ユーフォニアム、B♭管チューバ
E♭管E♭クラリネット、アルトクラリネット、アルトサックス、バリトンサックス、ソプラニーノサックス、アルトホルン、E♭管チューバ、E♭管コルネット
F管ホルン、イングリッシュホルン、バセットホルン、F管チューバ
A管A管クラリネット、オーボエ・ダモーレ
G管アルトフルート
D管D管トランペット、D管クラリネット

※上記は主な楽器の一覧であり、すべての管楽器を網羅したものではありません。

※トロンボーン、ユーフォニアム、チューバなどは、楽器の構造上の調性と楽譜の記譜法が異なる場合があります。

※ピッコロやコントラファゴットなど、C管であっても記譜音と実音がオクターブ違う楽器があります。

※ホルンにはB♭管とF管を切り替えられるダブルホルンなどもありますが、一般的な楽譜はF管として記譜されます。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次