全日本吹奏楽コンクールの歴史を語るうえで、普門館は欠かせない会場の一つです。
東京都杉並区にあった普門館は、長年にわたり全国大会の舞台となり、「吹奏楽の甲子園」「吹奏楽の聖地」と呼ばれてきました。
普門館が全国大会で使用された期間と、2012年に会場が変更された理由、建物の使用終了から解体までの歴史をたどります。
普門館はいつから吹奏楽コンクールの会場だった?
普門館が全日本吹奏楽コンクールの会場として初めて使用されたのは、1972年の第20回大会です。
その後、1977年から2011年まで、2005年を除いて主に中学・高校の部の全国大会会場として使用されました。2012年には耐震上の問題から使用されなくなり、全国大会は別会場へ移りました。
普門館とは?東京都杉並区にあった大ホール
普門館は、東京都杉並区にあった立正佼成会の施設です。
1970年4月28日に落成し、約5,000人を収容できる大ホールを備えていました。宗教行事だけでなく、音楽会などさまざまな催しに利用されていました。
| 項目 | 普門館の基本情報 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都杉並区 |
| 所有・運営主体 | 立正佼成会 |
| 落成 | 1970年4月28日 |
| 大ホール | 約5,000人収容 |
| 全国大会初使用 | 1972年・第20回全日本吹奏楽コンクール |
| 全国大会での最終使用 | 2011年・第59回大会 |
| 建物全体の使用終了 | 2018年11月 |
普門館では、全日本吹奏楽コンクールの全国大会が長年開催され、多くの中学生・高校生が演奏する舞台となりました。
普門館が全国大会の会場になったのは1972年
全日本吹奏楽連盟の公式沿革によると、1972年11月5日に開催された第20回全日本吹奏楽コンクールの会場が、東京・普門館でした。
ただし、1972年から毎年続けて使用されたわけではありません。
1973〜1976年の大会は別の会場で開催され、1977年の第25回大会から普門館が再び使用されるようになりました。
4月28日、東京都杉並区に約5,000人収容の大ホールを備えた普門館が完成。
11月5日、全日本吹奏楽コンクールが普門館で開催される。
中学・高校の部を中心に、全国大会の主要会場として使われる時代が始まる。
この年の全国大会では、普門館が会場として使用されなかった。
第59回大会が普門館で開催され、結果的に最後の全国大会となる。
耐震上の問題により普門館の使用ができなくなり、名古屋国際会議場センチュリーホールで開催。
普門館はなぜ「吹奏楽の甲子園」と呼ばれた?
普門館は、全国大会を目指す吹奏楽部員にとって特別な意味を持つ会場でした。
全国各地の予選を勝ち抜いた中学校・高校の代表団体が集まり、同じ舞台で演奏を披露することから、高校野球の甲子園球場になぞらえて「吹奏楽の甲子園」と呼ばれるようになりました。
各地の予選を経て選ばれた代表団体が、普門館の舞台で演奏しました。
中学・高校の全国大会が繰り返し開催され、全国の吹奏楽関係者に広く知られる会場となりました。
2008年には、全日本吹奏楽連盟の創立70周年記念式典で、普門館を全国大会の会場として提供してきた立正佼成会に感謝状が贈られています。
2005年だけ普門館では開催されなかった?
1977年から2011年までの間、普門館はほぼ毎年、中学・高校の部の全国大会会場となっていました。
ただし、2005年は例外です。
立正佼成会の記録では、2005年は大聖堂の改修に伴って普門館が全国大会会場として使用されなかったことが説明されています。
普門館の使用年数について
1972年の初使用と、1977〜2011年(2005年を除く)の使用を合わせると、全国大会で使用されたのは計35回です。
このうち1977〜2011年の使用は34回で、1972年の初使用を含めた回数とは区別する必要があります。
2012年に普門館から会場が移転した理由
普門館が全日本吹奏楽コンクールで使用されなくなった理由は、建物の安全性に関する問題です。
2011年の東日本大震災後、大ホールの天井について耐震調査が行われ、安全上の問題が明らかになりました。
このため普門館の大ホールは使用できなくなり、2012年の全日本吹奏楽コンクールは名古屋国際会議場センチュリーホールで開催されました。
東京都杉並区。長年にわたり中学・高校の部の全国大会で使用。
愛知県名古屋市のセンチュリーホールへ全国大会の会場を変更。
耐震上の問題とは?
普門館の大ホール天井に関する耐震調査で、安全性に問題があると判断されました。
単に建物が古くなったから会場が変更された、という説明ではありません。
普門館の使用終了と解体
全国大会の会場として使われなくなったあとも、普門館の建物自体はしばらく残っていました。
しかし、大規模な改修や建て替えに関する制約もあり、2018年に建物全体の使用終了と解体が決まりました。
中学・高校の部の全国大会が名古屋へ移る。
3月に施設全体の使用終了と跡地整備の方針が発表される。
11月5〜11日に「普門館からありがとう~吹奏楽の響きたちへ~」が開催される。
11月に使用を終了し、12月から解体を含む整備工事が始まる。
2月8日、普門館の解体と跡地整備を含む「普門エリア整備工事」の落成式が行われる。
2018年11月の一般公開イベントには、延べ約1万2,000人が来場したことが立正佼成会の記録に残されています。
現在、普門館の建物は存在しません。
現在の全日本吹奏楽コンクールの会場は?
普門館が使用されなくなったあとも、中学・高校の部の全国大会は続いています。
2012年からは名古屋国際会議場センチュリーホールが長年使用されましたが、全国大会の会場は現在も同じ場所に固定されているわけではありません。
| 期間・年度 | 中学・高校の部の主な会場 |
|---|---|
| 1972年 | 普門館(初使用) |
| 1977〜2011年 | 普門館(2005年を除く) |
| 2012〜2023年 | 名古屋国際会議場センチュリーホール(2020年は大会中止) |
| 2024・2025年 | 宇都宮市文化会館 |
| 2026年 | アクトシティ浜松 |
2026年度の第74回全日本吹奏楽コンクールでは、中学生の部は10月31日、高等学校の部は11月1日にアクトシティ浜松で開催予定です。
全国大会の会場は部門によって異なる
上の表は中学・高校の部を中心とした会場の変遷です。
大学の部、職場・一般の部まで、すべての部門が同じ会場で開催されてきたわけではありません。
普門館の歴史はどこで調べられる?
普門館での全日本吹奏楽コンクール開催年は、全日本吹奏楽連盟の公式沿革で確認できます。
また、施設の歴史や使用終了、解体については、所有者である立正佼成会の公式資料・デジタルアーカイブに記録されています。
記録の確認範囲について
本記事では、全日本吹奏楽連盟の大会記録と、立正佼成会による施設の沿革・発表を中心に掲載しています。
普門館で開催されたすべての演奏会や、全日本吹奏楽コンクールの各年度の全出演団体・成績を網羅したものではありません。
出典・参考資料
全日本吹奏楽連盟および普門館の所有者である立正佼成会の公式記録を中心に参照しました。
資料確認:2026年10月29日