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中橋愛生の代表曲24選|吹奏楽の名曲を演奏動画つきで紹介

吹奏楽の豊かな音響を使って、風や雲、水、光、そして目には見えない時間の流れを描く作曲家、中橋愛生(なかはし よしお/Yoshio Nakahashi)。

代表作《科戸の鵲巣》をはじめ、《彩雲の螺旋》《時の跳ね馬》《谺響する時の峡谷》など、独創的な発想に満ちた吹奏楽作品を数多く生み出しています。楽器の配置や音の重なり方にまで工夫を凝らした音楽は、演奏会やコンクールでも取り上げられています。

この記事では、中橋愛生の代表的な吹奏楽曲28作品を、成立背景や聴きどころ、演奏動画とともにご紹介します。少し難しい漢字の題名にも、それぞれ興味深い意味が込められています。ぜひお気に入りの作品を探してみてください♪

目次

科戸の鵲巣 ~吹奏楽のための祝典序曲

作曲:中橋愛生 / 演奏時間:約11分10秒(全曲版)・約6分20秒(コンクール版)

《科戸の鵲巣(しなとのじゃくそう)》は、中橋愛生の代表作として、まず紹介したい1曲。2004年に陸上自衛隊中央音楽隊の委嘱で作曲された祝典序曲で、大編成の吹奏楽が持つ豊かな音響を生かした作品です。

「科戸」は風の起こる場所、「鵲巣」はカササギの巣を意味します。風によって未来を予見するとされるカササギのイメージと、過去・現在・未来が幾重にも重なり合う音楽が結びついています。2006年にはコンクール向けの短縮版が作られ、さらに編成を再構成した《Edition TKWO》も誕生。オーボエのソロや、複数の旋律が重なり合う壮大な響きにも注目です。

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彩雲の螺旋 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生

《彩雲の螺旋》は、《科戸の鵲巣》と世界観を共有する姉妹作。明浄学院高等学校吹奏楽部の委嘱により2012年に作曲され、日本吹奏楽指導者クリニックのウェルカムコンサートで初演されました。

彩雲とは、太陽の光によって雲がさまざまな色に輝く現象のこと。音楽には、委嘱団体と指揮者の名前を音列へ変換して作られた4つの動機が使われています。それぞれの音楽が異なる方向へ進みながら、螺旋を描くように重なり合う構成が魅力。《科戸の鵲巣》《谺響する時の峡谷》と聴き比べるのも面白い作品です。

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閾下の桜樹 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生

《閾下の桜樹(いきかのおうじゅ)》は、桜を題材とした吹奏楽作品。2009年の全日本吹奏楽コンクールでは相模原市民吹奏楽団が取り上げており、コンクールでの演奏記録も残っています。

「閾下」は、感覚や意識の境界よりも下にある状態を表す言葉。桜という身近な題材に、普段は意識されない感覚を重ねた独特の題名が印象的です。日本の伝統芸能にも見られる「序・破・急」を意識した構成を手がかりに、音楽の変化を追いながら聴きたい作品です。

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氷結の花 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生

《氷結の花》は、ヤマハ吹奏楽団の委嘱によって作曲され、2011年に初演された作品。同年のコンクールに向けて大きく改訂され、2022年には新たなエンディングも制作されました。

氷が結晶となって形を変えていくような、不思議な美しさを感じさせる題名が印象的。きらびやかな音色だけでなく、普段とは違う時間や空間を感じさせる音楽の作り方に、中橋愛生らしさが表れています。楽譜や演奏動画を探す際には、どの版が使われているかも確認してみてください。

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時の跳ね馬 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生

《時の跳ね馬》は、東京都立片倉高等学校吹奏楽部の委嘱によって作曲された作品。2014年の全日本吹奏楽コンクールでも演奏され、全国大会金賞を受賞した演奏団体の自由曲として注目されました。

作品の題材は、走馬灯のように次々とよみがえる記憶と、時間を駆け抜ける馬のイメージ。木製の打楽器が生み出す音には、時計の動きや馬の蹄を思わせる響きがあります。時間が進んだり、過去の記憶が現れたりするような独特の音楽を味わえる1曲です。

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水文 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生 / 演奏時間:約6分20秒

《水文(すいもん)》は、水の動きや循環を題材とした吹奏楽作品。自然現象を独特な音楽として表現する中橋愛生の作風を知るうえで、紹介したい1曲です。

「水文」は、雨や川、海などの水の循環を研究する分野でも使われる言葉。水がさまざまな姿に変わりながら移動する様子を想像すると、題名にも興味が湧いてきます。ソプラノサクソフォーンの音色が重要な役割を担う作品として、サクソフォーン奏者にも注目してほしいレパートリーです。

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星を釣る海 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生

《星を釣る海》は、高知県の鏡野吹奏楽団の委嘱によって生まれた作品。星空と海という幻想的な情景を通して、生命の誕生と循環を見つめた吹奏楽曲です。

夜空の星が海へ沈んでいく様子を、作曲者は「海が星を釣っている」ようだと感じたそう。四万十川が注ぐ高知の海を思い浮かべながら、寄せては返す波と生命の呼吸を重ねています。美しい風景を描くだけではなく、命が生まれ、消え、また新しく生まれていくという深いテーマも持つ作品です。

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浅葱の空 ~吹奏楽による憧憬的音詩

作曲:中橋愛生

《浅葱の空(あさぎのそら)》は、2007年に初演された吹奏楽作品。作家・杉みき子の文学作品から着想を得ており、音楽と言葉の世界を結びつけたレパートリーです。

浅葱色は、緑がかった淡い青色。「憧憬的音詩」という副題にも、遠い景色や記憶への思いが感じられます。空という身近な題材を、色彩や感情の変化と重ねながら聴いてみたい1曲です。ミュゼ・ダール吹奏楽団による委嘱初演の演奏記録も公開されています。

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谺響する時の峡谷 ~吹奏楽のための交唱的序曲

作曲:中橋愛生

《谺響する時の峡谷(こだまするときのきょうこく)》は、関西大学応援団吹奏楽部OB会「紫吹会」の設立50周年を記念して委嘱された作品。2008年に初演され、《科戸の鵲巣》の続編にあたる音楽として位置づけられています。

最大の特徴は、金管楽器を舞台の左右と2つのバンダに分け、合計4つのグループが掛け合うように演奏すること。その間で木管楽器が響き合い、演奏会場全体がひとつの楽器のように感じられます。離れたグループには「過去」と「現在」の意味も込められており、OBと現役奏者のつながりが音楽の構造そのものに表現されています。

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玻璃ぷりずむ ~吹奏楽のためのテクナル・ミニマリズム

作曲:中橋愛生

《玻璃ぷりずむ(はりぷりずむ)》は、伏見稲荷の風景や山村暮鳥の詩などから着想を得た吹奏楽作品。「テクナル・ミニマリズム」という独特の副題からも、中橋愛生の実験的な一面が感じられます。

「玻璃」はガラスや水晶を意味する言葉で、「プリズム」は光を屈折・分散させる道具。ミニマリズムは、小さな音楽的な素材の反復や変化を生かす手法です。光がさまざまな色へ分かれていくように、音の反復と変化を楽しみたい作品です。

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ラグランジュ・ポイント ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生

《ラグランジュ・ポイント》は、2012年に発表された吹奏楽作品。最少28人・中編成でも演奏できる、楽器の配置を生かした音響的な工夫が特徴です。

ラグランジュ・ポイントとは、天体の重力と公転運動の関係によって、物体が一定の位置関係を保ちやすい場所のこと。作品では、左右に分かれて配置された楽器が互いに呼びかけ合うような音楽に注目したいところです。宇宙という題材と、演奏空間の使い方が結びついている点も興味深いですね。

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遮光の反映 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生 / 演奏時間:約7分10秒

《遮光の反映》は、2001年に発表された中橋愛生の初期の吹奏楽作品。「21世紀の吹奏楽“響宴”」でも取り上げられた、作曲家の初期の活動を知るうえで重要なレパートリーです。

「遮光」と「反映」という、一見対照的にも感じられる言葉の組み合わせが印象的。後年の《彩雲の螺旋》などにも通じる、光や音響に対する作曲者の関心を感じられます。後年の代表作品と聴き比べて、作風の変化をたどるのもおすすめです。

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組踊る天海の狭間に ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生 / 演奏時間:約6分40秒

《組踊る天海の狭間に》は、沖縄や奄美の風景と文化に着想を得た作品。2008年に作曲され、空と海の境界や、異なる文化が交わる場所を吹奏楽で表現しています。

題名の「天海」は「あまみ」と読み、「奄美」の意味も重ねられています。琉球神話に登場する阿麻弥姑の伝説や、大和と琉球の文化が出会う土地への思いが背景にあります。作曲者の解説では、天と海が出会い、人が生まれ、やがてすべてが混ざり合っていく姿が語られています。さまざまな音色がひとつになる響きを楽しみたい作品です。

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オルテンシア ~雨中に煌めく硝子の紫陽花

作曲:中橋愛生

《オルテンシア》は、箱根で見たガラスの紫陽花から着想を得た吹奏楽作品。2007年には録音も残されており、自然の美しさと人工的な光の輝きを結びつけた題名が印象的です。

「オルテンシア」は紫陽花を意味する言葉。雨の中で花びらが光を受けて輝く風景は、色彩豊かな音楽の題材にもなりそうです。自然現象を音楽で描く作品を数多く持つ中橋愛生ならではの、視覚と聴覚が結びつくような世界を楽しみたい1曲です。

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そして時は動き出す ~太鼓と吹奏楽のための祝典序曲

作曲:中橋愛生

《そして時は動き出す》は、太鼓と吹奏楽のために書かれた祝典序曲。管楽器と打楽器が共演する通常の吹奏楽作品から一歩進み、太鼓を特別な存在として取り上げたレパートリーです。

太鼓の持つ力強いリズムと、管楽器の豊かな響きが組み合わさるところに注目したい作品。題名にある「時は動き出す」という言葉からも、新たな出発を祝うようなイメージが感じられます。祝典音楽を探している人や、打楽器奏者をフィーチャーするプログラムを考えている人にも興味深い1曲です。

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風の渡る丘 ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生

《風の渡る丘》は、高知県の鏡野吹奏楽団による委嘱作品。同団で活動していたピッコロ奏者への追悼の思いを込めて生まれた、特別な背景を持つ吹奏楽曲です。

題名からは、丘を吹き抜けていく風の姿が思い浮かびます。作曲者の音楽には、亡くなった人への思いや、その人とともに過ごした時間が重ねられています。打楽器には壊れたオルゴールのような響きを思わせる指定もあり、音そのものが記憶を呼び起こすような作品です。

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虹色アンダーカレント ~吹奏楽のための

作曲:中橋愛生 / 演奏時間:約7分20秒

《虹色アンダーカレント》は、人の心の奥に流れる感情や意識の変化を題材とした吹奏楽作品。自然現象だけでなく、目に見えない心の動きにも音楽で向き合う、中橋愛生の作風を感じられる1曲です。

「アンダーカレント」は、表面からは見えない流れや底流を意味する言葉。虹のようにさまざまな色を持つ感情が、表面に現れないところで変化していく様子を連想させます。タイトルの意味を手がかりに、楽器の音色や音楽の表情の違いに注目してみてください。

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風のファンファーレ ~ウインド・アンサンブルとフレキシブル・バンドのための祝典音楽

作曲:中橋愛生

《風のファンファーレ》は、経験豊かな奏者と初心者がともに演奏することを考えて作られた祝典音楽。2016年に出版され、通常の吹奏楽作品とは異なる柔軟な編成が大きな特徴です。

ソロ的な役割を担うウインド・アンサンブルのパートに加えて、初心者でも演奏しやすいフレキシブル・バンドのパートが用意されています。演奏経験が違う奏者同士でも、ひとつの音楽を一緒に作れるのが魅力。学校や地域の合同演奏会など、さまざまな奏者が参加するプログラムにも注目したい作品です。

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古楠に寄せて ~吹奏楽のための頌歌

作曲:中橋愛生

《古楠に寄せて》は、古くからその場所に根を張る楠の木を題材とした吹奏楽作品。2010年に出版された、中橋愛生のレパートリーのひとつです。

「頌歌(しょうか)」は、人物や物事をたたえるための歌や音楽を意味します。長い年月を生きる大樹には、そこで暮らしてきた人々や歴史を見守ってきたような存在感があります。

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コンセルト・マーチ「シンタックス・エラー」

作曲:中橋愛生

《シンタックス・エラー》は、2004年に作曲された吹奏楽のためのコンサート・マーチ。壮大な交響的作品や幻想的な音響作品とは違う、中橋愛生のユニークな一面を楽しめるレパートリーです。

「シンタックス・エラー」は、コンピューターのプログラミングなどで使われる「構文上の誤り」を意味する言葉。規則正しい形式を思い浮かべるマーチと、エラーという意外な言葉の組み合わせが印象的です。通常の行進曲と比べて、どのような音楽的な工夫があるのかに注目しながら聴きたい1曲です。

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吹奏楽のための前奏曲「空を拓く雲奔」

作曲:中橋愛生

《空を拓く雲奔》は、慶應義塾大学ウインドアンサンブルの委嘱によって作曲された吹奏楽のための前奏曲。2013年に発表された作品で、空を流れる雲と未来へ進む人々の姿を重ねています。

「雲奔(うんぽん)」は、雲が勢いよく流れていく様子を思わせる言葉。広い空を自由に動く雲と、これから新しい世界へ進んでいく学生たちの姿が結びついています。大学吹奏楽団の委嘱作品として生まれた背景を知ると、音楽に込められた未来への思いも感じられそうです。

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SONORIFIC DETONATION for Symphonic Band

作曲:中橋愛生

《SONORIFIC DETONATION》は、2015年に発表されたシンフォニック・バンドのための作品。全音楽譜出版社から出版され、ブレーンの録音作品集にも収録されています。

「Sonorific」は音を生み出すこと、「Detonation」は爆発を意味する言葉。題名からも、吹奏楽の大きな編成が持つ音響的な可能性への関心が感じられます。メロディーだけでなく、音の響きそのものに注目して聴いてみたい作品です。

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SMOULDERING SONORITY for Symphonic Band

作曲:中橋愛生

《SMOULDERING SONORITY》は、2015年に発表されたシンフォニック・バンドのための作品。ブレーンの録音にも収録されており、同じ年に発表された《SONORIFIC DETONATION》とあわせて紹介したい1曲です。

「Smouldering」はくすぶるような状態、「Sonority」は音色や響きを意味する言葉。音が爆発するイメージを持つ《SONORIFIC DETONATION》とは対照的な題名が印象的です。音の強さや音色の変化によって、どのような音楽的な表情が生まれるのかを聴き比べてみたい作品です。

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キクロシス(Cyclosis for Symphonic Band)

作曲:中橋愛生

《キクロシス》は、創価グロリア吹奏楽団の委嘱によって2017年に生まれた作品。2019年には同団によるアルバム《キクロシス/コラールとトッカータ》に収録され、表題作にもなりました。

「Cyclosis」は、循環や巡りを連想させる言葉。吹奏楽の大きな編成を使い、音楽がどのように変化しながら進んでいくのかを楽しみたい作品です。コンクールで活躍してきた社会人吹奏楽団のために書かれたという成立背景も、作品を知るうえで興味深いポイントです。

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作曲家について

中橋愛生(なかはし よしお/1978年生まれ)は、長崎県出身の作曲家。東京音楽大学と同大学院を修了し、現在は同大学教授として作曲や吹奏楽に関する教育にも携わっています。2008年からNHK-FM「吹奏楽のひびき」のパーソナリティを務め、2024年には東京佼成ウインドオーケストラの楽芸員に就任。《科戸の鵲巣》《彩雲の螺旋》など、時間や空間、音響の重なりを生かした吹奏楽作品で知られています。

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