
《花のワルツ》の伸びやかな旋律から、《ロシアの踊り》の軽快なリズムまで。
チャイコフスキー《くるみ割り人形》組曲の全8曲を、チェロとピアノで楽しめる楽譜です。
深く温かな音色で歌う場面と、素早い弓の返しで舞曲を駆け抜ける場面。チェロのさまざまな表情を味わえます。
豊かな低音、しなやかなレガート、弾むようなアーティキュレーション。
いつもはオーケストラの低音を支えることも多いチェロが、ここでは主役。
ピアノと一緒に、物語の旋律をじっくり奏でてみませんか。
収録曲一覧
- 小序曲
- 行進曲
- 金平糖の精の踊り
- ロシアの踊り(トレパック)
- アラビアの踊り
- 中国の踊り
- 葦笛の踊り
- 花のワルツ
演奏のポイント
《小序曲》ではスタッカートとスラーを弓で描き分け、《行進曲》では3連符を含む軽快なリズムを明瞭に。《ロシアの踊り》や《中国の踊り》では、素早い運弓と左手の連携がポイントです。一方、《アラビアの踊り》や《花のワルツ》では、長い音に弓を配分し、深い響きで歌いたいところ。チェロらしい歌心と舞曲の機敏さを両方楽しめます。
全8曲の解説と演奏動画
01|小序曲
物語の幕開けを彩る、軽やかで愛らしい序曲。
高音弦楽器と木管楽器を中心とした、明るく繊細な響きが特徴です。
冒頭には短いスタッカートと休符、スラーでつなぐフレーズが交互に登場します。チェロの豊かな響きを重たくしすぎず、弓の返しを軽く保ちたいところ。短い音と流れる旋律の違いを丁寧に描き、愛らしい幕開けにしましょう。
02|行進曲
おもちゃの兵隊の行進を思わせる、歯切れのよい音楽。明るいファンファーレと弾むリズムが、クリスマスの華やかさを伝えます。
3連符を含む細かなリズムと短い休符が、行進曲の弾みをつくります。チェロでは弓の返しと左手のタイミングをそろえ、音の粒を明瞭に。ピアノのリズムをよく聴きながら、おもちゃの兵隊らしい軽快な足取りを表現したい楽章です。
03|金平糖の精の踊り
きらめくチェレスタの音色で有名な、幻想的な一曲。少し不思議で神秘的な雰囲気が、甘いお菓子の国へ誘います。
ピアノの静かな導入が続いたあと、チェロが弱音の短い音で加わります。豊かな音量をあえて抑え、弓の重さと速度を細やかに調整したいところ。発音の輪郭を残しながら、チェロならではの温かな幻想性を生み出しましょう。
04|ロシアの踊り(トレパック)
勢いよく駆け抜ける、エネルギッシュなロシア舞曲。歯切れのよいリズムと急速な展開が聴きどころです。
速いテンポの中でスタッカートやアクセント、スラーの付いた動きが次々に現れます。力強く弾くだけでなく、素早い弓の返しで軽快さを保つことが大切。チェロの迫力と舞曲の俊敏さを両立させたい一曲です。
05|アラビアの踊り
ゆったりとした時間の流れと、どこか異国を思わせる旋律が特徴。静けさの中に独特の緊張感が漂います。
3/8拍子の静かなピアノ伴奏に続いて、チェロが控えめな音量で旋律を歌い始めます。長く保つ音やスラーをひとつの流れとして捉え、弓の配分を丁寧に。低音の深みを生かし、静けさの中にある緊張感を描きましょう。
06|中国の踊り
短いながらも印象に残る、ユーモラスで軽快な舞曲。木管楽器の明るい響きと、独特のリズムが魅力です。
ピアノのリズムに乗り、駆け上がる7連符や5連符を含む下降形が登場します。速い左手の動きとボウイングをそろえるのが腕の見せどころ。音の粒を保ちながら、チェロで奏でるユーモラスな軽さに挑戦したい楽章です。
07|葦笛の踊り
原曲ではフルートによる可憐な主題が印象的。
弦楽器のピッツィカートに乗せて、柔らかく跳ねるような音楽が広がります。
ピアノの短い導入のあと、同じ音を繰り返す軽快な音型から上昇する旋律へと進みます。原曲のフルートが奏でる可憐な主題を、チェロの丸く温かな音色で表現できるのが面白いところ。短い音も弓を重く乗せすぎず、柔らかく弾みましょう。
08|花のワルツ
組曲を華やかに締めくくる壮大なワルツ。
優雅な旋律が次々に現れ、音楽は大きなクライマックスへと向かいます。
冒頭の明快な3拍子から、長く保つ音や大きく歌うフレーズへと展開します。弓の配分を工夫し、響きをたっぷり保ちながら音楽の流れを止めないことが大切。チェロの豊かな歌心で、ピアノとともに優雅なワルツを描きましょう。
こんな演奏シーンにおすすめ
ほかの楽器でも楽しめます
《くるみ割り人形》組曲は、チェロのほかにも18種類の楽器のための編曲版をご用意しています。各楽器のページも順次公開しています。



