全日本吹奏楽コンクールの課題曲には、マーチと、それ以外のさまざまな形式の作品があります。
かつてはマーチが中心でしたが、現在では序曲、幻想曲、変奏曲など、さまざまな作品が採用されています。
課題曲のマーチと非マーチの違い、分類の考え方、戦後から現在までの制度の変遷を紹介します。
課題曲のマーチと非マーチはどう違う?
マーチは行進曲の形式や性格を持つ作品で、非マーチはそれ以外の形式・性格の課題曲を指す分類です。
戦後再開直後はマーチ中心でしたが、1960年代からマーチ以外の作品が登場しました。1974年には課題曲の自由選択制が導入され、現在は各年度の候補曲から規定に従って1曲を選択します。
課題曲のマーチと非マーチとは?
全日本吹奏楽コンクールの課題曲を分類する際には、「マーチ」と「非マーチ」という区分が使われます。
マーチは行進曲を意味し、一定の拍子感や規則的なリズム、明確な楽節構造などを特徴とする作品が多くあります。
非マーチは、マーチ以外の課題曲をまとめた呼び方です。序曲や幻想曲、変奏曲など、さまざまな作品が含まれます。
行進曲の形式や性格を持つ作品。規則的な拍子感やリズムが特徴となることが多い。
マーチ以外の課題曲をまとめた分類。序曲、幻想曲、変奏曲など、多様な作品を含む。
非マーチは一つの楽曲形式ではない
非マーチという名称は、マーチ以外の作品をまとめるための分類です。
非マーチに共通する一つの拍子や楽曲構成があるわけではありません。
戦後の課題曲はマーチ中心だった
1956年に全日本吹奏楽コンクールが戦後再開された当時、課題曲は部門ごとに指定されていました。
1956年から1963年までの課題曲にはマーチが採用され、行進曲を演奏することが課題曲制度の中心となっていました。
当時は現在のように、すべての部門が共通の候補曲から自由に1曲を選ぶ仕組みではありませんでした。
| 時期 | 課題曲の特徴 |
|---|---|
| 1956〜1963年 | マーチを中心とした部門別の課題曲指定 |
| 1964年以降 | 序曲や楽章形式など、マーチ以外の作品も登場 |
| 1974年 | 複数の課題曲から選択する自由選択制を導入 |
| 現在 | マーチ・非マーチを含む年度ごとの候補曲から、規定に従って選択 |
1960年代からマーチ以外の課題曲が登場
1964年度には、石井歓の序曲《暁野をゆく》や兼田敏の《バンドのための楽章「若人の歌」》が課題曲に採用されました。
これらは行進曲とは異なる形式の作品で、戦後のマーチ中心の課題曲から、作品の形式が多様化していく転換点となりました。
部門ごとに指定されたマーチを演奏する方式。
マーチ以外の音楽的な構成を持つ作品も課題曲として採用。
ただし、1964年にマーチが廃止されたわけではありません。その後もマーチとマーチ以外の作品が課題曲として採用されていきます。
1974年、課題曲の自由選択制が導入
1974年の第22回全日本吹奏楽コンクールでは、課題曲の自由選択制が導入されました。
それ以前の部門別指定から、用意された候補曲の中から演奏する課題曲を選ぶ方式へと変更されます。
ただし、1975年や1977年には部門による選択制限もあり、導入後の制度が毎年同じ内容だったわけではありません。
部門別にマーチが課題曲として指定される。
序曲や楽章形式など、課題曲の作品形式が広がる。
翌年度の課題曲を対象とした公募が始まる。
候補曲から課題曲を選択する制度へ移行。
演奏できる部門が限定された5番目の課題曲が設けられる。
課題曲Ⅴが廃止され、課題曲Ⅰ〜Ⅳの4作品となる。
マーチはどの課題曲番号になる?
マーチが必ず課題曲ⅡやⅣになる、といった固定の決まりはありません。
実際に近年の課題曲を見ると、マーチが配置される番号は年度によって異なります。
| 年度 | 番号 | 作品名 | 作曲者 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | Ⅱ | マーチ「エイプリル・リーフ」 | 近藤悠介 |
| 2019年 | Ⅲ | 行進曲「春」 | 福島弘和 |
| 2022年 | Ⅱ | マーチ「ブルー・スプリング」 | 鈴木雅史 |
| 2022年 | Ⅳ | サーカスハットマーチ | 奥本伴在 |
| 2023年 | Ⅰ | 行進曲「煌めきの朝」 | 牧野圭吾 |
| 2023年 | Ⅳ | マーチ「ペガサスの夢」 | 水口透 |
| 2024年 | Ⅰ | 行進曲「勇気の旗を掲げて」 | 渡口公康 |
| 2025年 | Ⅲ | マーチ「メモリーズ・リフレイン」 | 伊藤士恩 |
2023年度には課題曲ⅠとⅣにマーチがあり、2025年度には課題曲Ⅲにマーチが採用されています。
つまり、曲番号だけを見てマーチか非マーチかを判断することはできません。
曲名だけで分類できない場合もある
作品名に「マーチ」「行進曲」と含まれる作品は判断しやすい一方、作品名にその言葉がなくても行進曲の性格を持つ作品があります。
分類を詳しく調べる場合は、楽曲の形式や作品解説、作曲者の説明なども確認する必要があります。
マーチと非マーチの割合は毎年同じ?
全日本吹奏楽コンクールの課題曲に含まれるマーチの数は、年度によって異なります。
例えば、2023年度は4作品のうち2作品が曲名にマーチまたは行進曲を含んでいます。一方、2025年度は4作品のうち1作品です。
課題曲Ⅰ《行進曲「煌めきの朝」》とⅣ《マーチ「ペガサスの夢」》。
課題曲Ⅲ《マーチ「メモリーズ・リフレイン」》。
上の比較は、作品名に「マーチ」「行進曲」が含まれる作品を数えたものです。正式な音楽形式まで含めたすべての分類を示すものではありません。
2026年度の課題曲にもマーチはある?
2026年度の課題曲はⅠ〜Ⅳの4作品です。
全日本吹奏楽連盟の公式資料には、次の作品が掲載されています。
| 番号 | 課題曲 | 作曲者 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 夕映えの丘 | 森山至貴 |
| Ⅱ | ザ・ガーズ | 星出尚志 |
| Ⅲ | あつまれ おもちゃのマルチャ! | 伊藤士恩 |
| Ⅳ | 管楽器のためのフィナーレ | 伊藤康英 |
課題曲Ⅱ《ザ・ガーズ》は伝統的な英国マーチの性格を持つ作品です。
課題曲Ⅲ《あつまれ おもちゃのマルチャ!》も、題名にイタリア語で行進曲を意味する「マルチャ」を含んでいます。
2026年度の分類について
課題曲の公式一覧では、すべての作品について「マーチ」「非マーチ」という分類表示が付けられているわけではありません。
曲名や音楽的な性格による分類と、連盟が年度ごとに示す正式な規定は区別して考える必要があります。
マーチと非マーチはどちらを選んでもいい?
2026年度の全日本吹奏楽コンクールでは、参加団体は指定された課題曲の中から1曲を選んで演奏します。
マーチと非マーチのどちらかを必ず選ばなければならないという指定はありません。
ただし、課題曲を演奏する際には、その年度の実施規定や演奏上の注意事項に従う必要があります。
| 疑問 | 2026年度の全国大会 |
|---|---|
| マーチを必ず選ぶ? | そのような指定はない |
| 非マーチを選んでもいい? | 選択可能 |
| 課題曲番号で分類される? | 番号だけでは決まらない |
| 演奏方法は自由? | 各年度の実施規定・演奏上の注意事項に従う |
歴代のマーチ課題曲を調べるには?
歴代のマーチ課題曲を調べる場合は、年度別の課題曲一覧と作品ごとの情報を確認する方法があります。
全日本吹奏楽連盟の公式課題曲資料のほか、Musicabellaなどのデータベースでも年度別の作品名・作曲者を確認できます。
また、ブログ内の「吹奏楽選曲ナビ」では、歴代課題曲からマーチを探せる特集を公開しています。
分類の確認範囲について
本記事は、課題曲制度の歴史と代表的な作品を中心に紹介しています。
すべての年度の全作品を統一した音楽学的基準で再分類したものではありません。マーチかどうかの判断が難しい作品については、作品ごとの資料を確認する必要があります。
出典・参考資料
全日本吹奏楽連盟の公式資料を中心に、年度別課題曲一覧や作品情報を参照しました。
資料確認:2026年10月29日