全日本吹奏楽コンクールの課題曲には、「朝日作曲賞受賞作品」と記されているものがあります。
朝日作曲賞は、吹奏楽の新しい作品を公募し、選考する制度です。受賞作品は翌年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲として採用されてきました。
1990年に始まった朝日作曲賞の歴史と、これまでに課題曲となった受賞作品、全日本吹奏楽連盟の委嘱作品や課題曲Ⅴとの違いを紹介します。
朝日作曲賞とは?
朝日作曲賞は、全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社による、全日本吹奏楽コンクールの課題曲につながる吹奏楽作品の作曲公募です。
1990年に第1回が行われ、受賞作品は翌1991年度から課題曲に採用されました。朝日作曲賞は、課題曲を生み出す仕組みの一つとして現在も続いています。
朝日作曲賞が始まったのは1990年
朝日作曲賞の第1回が行われたのは、1990年です。
それ以前から全日本吹奏楽コンクールでは課題曲の作曲公募が行われていましたが、1990年に朝日作曲賞という賞が設けられました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 朝日作曲賞(吹奏楽) |
| 第1回 | 1990年 |
| 主催 | 全日本吹奏楽連盟・朝日新聞社 |
| 対象 | 吹奏楽のオリジナル作品 |
| 課題曲への採用 | 1991年度から |
| 2026年度 | 第35回受賞作品が課題曲Ⅰに採用 |
なお、作曲公募そのものは朝日作曲賞より前から存在していました。
全日本吹奏楽連盟の公式沿革には、1972年に翌年度の課題曲を対象とする作曲公募が始まったことが記録されています。
朝日作曲賞と吹奏楽コンクール課題曲の関係
朝日作曲賞では、全日本吹奏楽コンクールの課題曲として演奏することを想定した作品が募集されます。
受賞作品は、選考された翌年度の課題曲として採用される仕組みです。
例えば、2025年度の第35回朝日作曲賞を受賞した《夕映えの丘》は、2026年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰとして採用されています。
受賞年と課題曲の年度は異なる
朝日作曲賞の受賞回次を調べるときは、賞の選考年度と、作品が課題曲として演奏された年度を区別する必要があります。
例えば、第35回朝日作曲賞の受賞作品は2026年度の課題曲です。
朝日作曲賞の歴史を年表で見る
朝日作曲賞と課題曲制度の主な出来事を年代順に整理しました。
翌1973年度用の課題曲を対象に公募が始まる。
吹奏楽分野の朝日作曲賞が始まる。
《吹奏楽のための「斜影の遺跡」》が課題曲Aに採用される。
別の公募制度である全日本吹奏楽連盟作曲コンクールの第1位作品が課題曲Ⅴに採用される。
課題曲Ⅴが廃止され、Ⅰ〜Ⅳの4曲体制となる。朝日作曲賞による公募は継続。
森山至貴の《夕映えの丘》が課題曲Ⅰとなる。
歴代の朝日作曲賞受賞作品
朝日作曲賞を受賞し、全日本吹奏楽コンクールの課題曲に採用された作品を紹介します。
ここでは、第1回受賞作品と、近年の公式課題曲資料で受賞回次を確認できる作品を中心に掲載しています。
| 受賞回次 | 課題曲年度 | 受賞作品 | 作曲者 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1991年 | 吹奏楽のための「斜影の遺跡」 | 河出智希 |
| 第29回 | 2019年 | 「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲 | 林大地 |
| 第30回 | 2020・2021年 | トイズ・パレード | 平山雄一 |
| 第31回 | 2022年 | やまがたふぁんたじぃ ~吹奏楽のための~ | 杉浦邦弘 |
| 第32回 | 2023年 | 行進曲「煌めきの朝」 | 牧野圭吾 |
| 第33回 | 2024年 | 行進曲「勇気の旗を掲げて」 | 渡口公康 |
| 第34回 | 2025年 | 祝い唄と踊り唄による幻想曲 | 杉山義隆 |
| 第35回 | 2026年 | 夕映えの丘 | 森山至貴 |
一覧の掲載範囲について
この表は歴代受賞作品の抜粋です。第1回から第35回までのすべての受賞回次や作品を掲載した一覧ではありません。
2020年度は全国大会が中止されたため、《トイズ・パレード》は2021年度にも同じ課題曲Ⅰとして引き継がれました。
第1回朝日作曲賞の受賞作品
1990年の第1回朝日作曲賞では、河出智希の《吹奏楽のための「斜影の遺跡」》が受賞しました。
この作品は、翌1991年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲Aとして採用されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受賞 | 1990年・第1回朝日作曲賞 |
| 作品 | 吹奏楽のための「斜影の遺跡」 |
| 作曲 | 河出智希 |
| 課題曲 | 1991年度・課題曲A |
1991年度の課題曲には、このほか《コーラル・ブルー》《ロックン・マーチ》《そよ風のマーチ》がありました。
ただし、同じ年度の課題曲がすべて朝日作曲賞の受賞作品だったわけではありません。
朝日作曲賞と委嘱作品の違い
全日本吹奏楽コンクールの課題曲には、朝日作曲賞の受賞作品のほか、全日本吹奏楽連盟の委嘱作品も採用されています。
朝日作曲賞は作品を公募する仕組みですが、委嘱作品は連盟が作曲家に制作を依頼するものです。
応募規定に従って提出された作品を審査し、受賞作品を課題曲として採用。
全日本吹奏楽連盟が作曲家へ作品の制作を依頼し、完成した作品を課題曲として採用。
例えば2026年度の課題曲では、課題曲Ⅰ《夕映えの丘》が朝日作曲賞受賞作品、課題曲Ⅱ《ザ・ガーズ》と課題曲Ⅳ《管楽器のためのフィナーレ》が連盟委嘱作品です。
このように、同じ年度の課題曲にも異なる選定経路の作品が含まれています。
朝日作曲賞と課題曲Ⅴの作曲コンクールは別制度
2009年度から課題曲Ⅴの選考に関わった「全日本吹奏楽連盟作曲コンクール」は、朝日作曲賞とは別の制度です。
全日本吹奏楽連盟作曲コンクールは、若手邦人作曲家の発掘を目的とした公募で、第1位作品が翌年度の課題曲Ⅴに採用されていました。
全日本吹奏楽コンクールの課題曲となる吹奏楽作品を公募する制度。
課題曲Ⅴに採用する作品を選ぶ公募。課題曲Ⅴの廃止に伴って停止。
課題曲Ⅴは2022年度を最後に廃止されましたが、朝日作曲賞による作品公募はその後も継続されています。
現在の朝日作曲賞はどのように募集されている?
現在も全日本吹奏楽連盟の公式サイトでは、朝日作曲賞の募集案内が公開されています。
募集内容は年度によって改定される場合がありますが、応募作品には演奏時間、楽器編成、演奏難易度などの条件が設けられています。
例えば第32回の募集要項では、全部門が演奏できる作品であること、楽器を始めて1〜2年程度の生徒でも演奏できる技術的にやさしい作品であることなどが求められていました。
応募条件は各回の募集要項を確認
過去の募集要項に書かれた演奏時間・編成・応募資格などが、すべての年度に共通するとは限りません。
応募を検討する場合は、全日本吹奏楽連盟が公開する該当回の最新募集要項を確認してください。
2026年10月29日現在、全日本吹奏楽連盟の公式サイトには、第36回朝日作曲賞の募集が締め切られたことが掲載されています。
朝日作曲賞の歴史はどこで調べられる?
朝日作曲賞に関する現在の募集情報は、全日本吹奏楽連盟の公式サイトで確認できます。
過去の受賞作品については、各年度の課題曲案内や連盟の会報などに、朝日作曲賞の受賞回次と作品名が記録されています。
また、課題曲全体の歴史については、別記事で制度の変遷を年代順に紹介しています。
資料の確認範囲について
本記事では、全日本吹奏楽連盟の公式課題曲資料を中心に、朝日作曲賞の仕組みと代表的な受賞作品を紹介しています。
歴代すべての受賞作品・応募総数・選考委員・審査結果を網羅した資料ではありません。
出典・参考資料
全日本吹奏楽連盟の公式発表と課題曲資料を中心に参照しました。
資料確認:2026年10月29日